2012年1月4日

【番外編】海福の片隅で


おや?


正月の気怠い空気が漂う海福雑貨の店内で、

何かが起きているようです・・・!


店内中央に突如現れた「海福神社」、

そこに集う海福族の姿・・・


これは・・・!


海福族たちの新年会に違いありません・・!

もっと近くに寄ってみましょう・・・!!


「諸君、よく集まってくれた。これより、新年の儀を執り行う。」


主神が、集まった海福族の面々に語りかけています・・・!

厳格な中にも、全てを包む優しさを滲ませる、神。さすがです・・!!


「まずは、海福袋に入ってもらう者の選出を行う。
 我こそは、という心意気を持つ若者、前へ。」


・・・なるほど。

毎年恒例の海福袋には、確かに1体ずつ、

海福族が入っています・・・!


志願制だったとは、驚きです・・・!!


おや?


なにやら、会場がどよめいています・・!

有り難い神の言葉に、まさかの不満でしょうか・・・!?


「か、神よ!海福袋なる物は、必ずしも我々を求めている人間が
 手にするとは限らないと聞き及びました・・!求められていなかった場合、
 我々は、一体どうなるのでしょうか・・・!?」


健康的な若い海福族の発言に、

会場は一層どよめきます・・・!


たしかに、海福族アレルギーの方が手にした場合の

末路を考えると、恐ろしいものがあります・・・


この若者の心配も、頷けますね・・・!


「憂いはもっともだ、若者よ。だが、求められていなければそれまでか?
 違うぞ若者よ。諦めず精進を続ければ、きっと求められる日が来るであろう。
 状況に甘んじることなく、道を切り開くのだ。」

・・・なんという有り難いお言葉!


確かに環境や他人のせいにしていたのでは

いつまでも、何も変わりません。


嫌われても、その人を想って精進し続ける・・・

精一杯やらない前に、嫌われて諦めたりしない・・・


険しい道のりですが、

それが海福族に科せられた定めなのかもしれませんね・・・!


おや?


「ときに神よ!」



若い変形海福族が、発言するようです・・・!


「我々若者は、常に最前線で精進しております・・!しかし、時々
 疑念を抱くのです。我々若者ばかりが精進を強いられ、重鎮の方々は
 甘い汁を吸われているのではないかと・・・!」

・・・!!!

なんという、神をも恐れぬストレートな物言い!!


・・・ですが、確かに、

若者ばかりが散っていくのは否定できませんね・・・


「ううむ・・そうきたか、若者よ。確かに、重鎮の者どもは昔から
 ここに居座っておる。だが、何もしていないように見える彼らにも、
 それぞれが背負う重要な使命があるのだ。わかってくれ、若者よ・・・」


珍しく歯切れの悪い回答の、神です・・

神と言えども海福族。多少ひっかかるところがあるのでしょう・・



・・・おや?

「神よー!!」


「神よ、わたくしめをお使いください!わたくしは、ここでの使命は
 全うしたと考えております!わたくしめがこの若者の手本となり、
 彼の地へ参りましょう!わたくしめのポストには、若者を充てましょう!」


・・・なんということでしょう!

老練の海福族、それも重鎮です・・!


彼は、ここでの全てを捨て、一海福族として

海福袋に入ろうと決意したようです・・・!!


「しかし・・お前には、店内北東方面の全権を任せているではないか・・・
 お前の代りが務まる若者が、果たして居るであろうか・・・」


確かに、重鎮の仕事はそうそう簡単ではありません・・

確かな素質と教養が、要求されてきます・・!


「神よ、先程ご自分で仰せになったお言葉をお忘れですか?
 状況に甘んじることなく、道を切り開くのです!!わたくしめも、
 新しい持ち場では嫌われても精一杯精進する覚悟であります!」


「それに、ご覧下さい、この若者たちを!
 目は輝き、ツヤツヤして、丸い!海福族の未来は明るいですぞ!」


「すまなかった、重鎮よ。我々の持てる力を信じるとしよう。
 重鎮としての誇りを持って、行って参れ。若者の良き手本となるよう・・」


なんと民主的な海福族


重鎮の言葉に心動かされた神は、彼を

海福袋に入れる事を決心したようです・・・!



「さあ、神よ。我らを優しくお包みください・・・!」


先程の重鎮の他にも、何名かの重鎮が

共に旅立つようです・・・!


みるみるうちに、

神の「お包み」術が施されていきます・・・!


「行って参ります!!」


行ってしまいました・・


果たして、重鎮達海福族は無事歓迎されるのでしょうか?

歓迎されなかったとしても、精一杯精進するのでしょうか?


その結末はきっと、彼らと

彼らを連れ帰った方にしか分からないでしょう・・!


劇的な幕開けとなった

海福族の新年会。


あの重鎮の事は、しっかりと

若者たちの心に残ったはず・・・


新年会は始ったばかりですが、

後は海福族たちに任せて、

我々はこのあたりでそっと

おいとますることにしましょう・・・!



2012年、楽しい一年になりそうです・・・!!

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