2017年4月8日

【番外編】海福の片隅で




※このお話は、閉店後の海福雑貨店内で海福族が活躍するシリーズ
【番外編】海福の片隅で」の第12話です。
通常のブログ記事とは異なりますので、海福族、
または人形写真が苦手な方は閲覧しないことをおすすめ致します。 
・・・ 
・・・  
・・・おや?

静まり返った海福雑貨の店内で
何かが起きているようです・・・!

・・・


・・・こんな夜更けに、
一体何があったというのでしょうか?

・・・


・・・!!

 ・・・これは大変です!

海福族の主神を筆頭に、
重鎮達が勢揃いしているではありませんか・・・!

・・・


そして大勢の海福族たちも
集まってきています・・・!


これはきっと、何か重大な事件が
起きたに違いありません・・・!!


・・・

もう少し近くに寄って、
何が起きているのか
聞き耳を立ててみましょう・・・!

・・・
・・・

「我々が住処とするこの地が開かれて、間も無く10年となる」

・・・!!
さすが神です、
海福雑貨がまもなく10周年を迎えることを
完璧に見抜いています・・・!!

「我々の使命は、出会った者に連れ帰られ、その者を主として小さな幸せをもたらし、悪しき者から護ることだ・・・」

・・・!
さすが神です、
海福族の海福族たる意味を
完璧に理解しているだけでなく、
それを若手の海福族たちにも解りやすく
説明しているではありませんか・・・!!

「我々はその使命を常に果たし続けてきた」

「お前達の多くはそれで満足していることであろう」

・・・!
さすが神です、
何とも意味深な発言です・・・!

「しかし・・・我々は生かされているのだ」

「我々がこの地に遍く存在出来るのも、この地を訪れる者がいればこそ・・・お陰でこの地は保たれ、我々の住処が保たれるのだ・・・」

・・・!
なんということでしょう!
自分たちの立ち位置を経営的な観点から
完璧に把握しているではありませんか・・・!

「そこでだ」

「この度、我々は10周年を記念して、この地を訪れる者達に恩返しをしようと思う」

・・・!
海福族の、恩返し・・・!
一体どんな恩返しなのでしょうか、
とっても気になります・・・!

・・・

「何か良いアイデアはないだろうか?」

・・・!
さすが神です、
海福族を全招集しておきながら、
まさかのノープランです・・・!

・・・

・・・おや?

海福族の戦士たちが
何やら提案したそうにしています・・・!

「神よ!ちょうど良いものがございます・・・!」

「南西方面を巡回中、我々の仲間たる「琥珀族」を食す陶人形を発見、これを捕らえたのです!」


・・・!
なんということでしょう!

海福雑貨に最近入店した、
英国紳士の「ジョージ」ではありませんか・・・!

そして海福族の戦士の言う「琥珀族」とはおそらく、
先日海福雑貨にやってきた
琥珀糖の海福族のことでしょう・・・

「おお、これは・・・」

・・・さすがの神も、
この展開には絶句気味です・・・

無理もありません、
標準的な海福族の個体の十数倍はあろうかという
巨大な獲物なのですから・・・

「神よ!これを10周年の生贄として捧げるのです!」

・・・!

なんということでしょう!

これは大変なことになりました・・・!

「ジョージ」が生贄にされようとしています・・・!!

「若き者よ・・・」
「それでは何の恩返しにもならないではないか」

・・・!

さすがは神です、
むやみに「ジョージ」を生贄としても
誰も喜ばないことを、
見事に見抜いています・・・!


「しかし、神よ・・・琥珀族が2匹、無惨にも捕食されたのですよ・・・!?」

・・・!

この海福族の戦士たちは、まさか
「ジョージ」に復讐がしたいだけなのでしょうか・・・!?

「愚かな若き者よ・・・復讐は復讐しか生まぬのだ」

・・・!
ここで重鎮からの的確なアドバイスです・・・!
確かにその通り、復讐の連鎖はよくありません・・・!

・・・

・・・おや?

かなりの若手と見られる海福族が、
何やら発言をしようとしています・・・!

「あのー・・・琥珀族は聞くところによると、お菓子なのです・・・!」

「お菓子は食べられる為に生まれたもの、食べられることが何よりの幸せなのではないでしょうか・・・!」

・・・!
たしかに!その通りです・・・!
琥珀族は琥珀糖ですから、食べられることが幸せ・・・
英国紳士の「ジョージ」は
決して悪いことをした訳ではないはずです・・・!

「生まれたばかりの若き者よ、その通りだ・・・」

「その陶人形は決して琥珀族を苦しめた訳ではない、むしろ喜ばせたのだ」

・・・!
さすが神です、
最初から全てお見通しだったのに
本人たちが気付くまで答えを言わない
見事な教育方針です・・・!

「しかし、10周年の恩返しはどうしたものか・・・」

・・・!
振り出しに戻ってしまったようです・・・!

・・・おや?

1匹の若手が、前に出てきました・・・!

「か、神よ・・・我々自身が10周年の記念として身を捧げては・・・」

・・・!
なんということでしょう!
この若手の海福族は、海福族自らが10周年の
記念品になることを提案しているようです・・・!


一気にざわめき立つ会場・・・
それもそのはずです・・・!


ただでさえ、
個体数の減少が確認され始めている海福族・・・

ここで自らを記念品として捧げるとなると、
更なる減少をもたらしてしまいます・・・!


一体どうなるのでしょうか・・・!?

・・・

・・・

・・・おや?
1匹の青年が発言するようです・・・!


「私は賛成です、神よ・・・」

「我々に恩恵をもたらすものに対し、自らの手で、自らの身を削らずして、一体何の恩返しができましょう?」

・・・!
見事な決意です・・・!
たまたま手に入れたもの、余っているものを
差し出すのは心のこもった真の恩返しとは言えません・・・
我々人間も見習いたいものですね・・・!

「我々も賛成です、神よ・・・!」

さすが海福族たちです・・・
「出会った者に連れ帰られ、その者を主として小さな幸せをもたらし、悪しき者から護る」
その原点に立ち返り、自らの使命を最大限に果たせる
方法を導き出したようですね・・・!

「よく言った、皆の者・・・」

「それでは、この地が開かれて10年の記念として、期間中に訪れた者に対して我々海福族を進呈することとする!」

・・・!
さすが神、
相変わらずの決断力です・・・!

「それでは後ほど店主めの夢枕に立ち、そのように伝えておこう・・・」

・・・!
さすが神です、
そのようにして影から店主を、
そして海福雑貨を操っていたのですね・・・!

・・・

・・・さて、
どうやら一件落着のようですね・・・!


今夜の会合が
どのような形となって海福雑貨10周年企画につながるのか・・・

そして海福族たちのその後の運命は・・・


気になることは沢山ありますが、
ひとまず今夜はこのあたりで、
我々の現実に戻るとしましょう・・・

・・・

・・・

実に4年ぶりとなった【番外編】、
次回はいつになるかわかりませんが・・・
 
次回番外編も、乞うご期待です!


・・・


・・・


・・・

「取り残されたのだが」

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