2012年8月13日

【番外編】海福の片隅で



・・・・おや??


お盆休みで静まり返った昼間の海福雑貨で、

何かが起きているようです・・・!!


海福族たちの緊急集会でしょうか!?


普段は夜に活動するはずの海福族が、

続々と集まって来ています・・・


一体どうしたと言うのでしょうか?

近くに行って、様子を覗いてみましょう・・・!


「皆の者に重大な報告がある。」


・・・!

海福族の主神から、いきなり重大な報告です!!

一体、何があったと言うのでしょうか・・・!?


「小さき者たちを救出すべく向かわせた二名の若者だが・・
 KANNA帝国領内で消息を絶ったきり、戻っていない。」


・・・・!!

なんということでしょう!!


あの痛ましい事件の発生後、

勇敢にも捕われた「小さき者たち」の救出に向かった

二名の海福族の若者が、行方不明になったというのです・・!


「大きな犠牲となってしまった・・残念至極である。」


ざわめく会場・・集まった海福族たちも、

ショックを隠しきれないようです・・!


「あの若者たちは自分の精一杯をやったのだ。素晴らしい勇気だ。
 結果がどうあれ、讃えてやろうではないか・・!」


重鎮も、責任を感じているのでしょうか・・

行方不明になった二名の若者を賞賛しながらも、

複雑な心境に違いありません・・・!


「わ、わたしたちにもそのような運命が
 ま、待ち受けているのでしょうか・・!?」


「あの二人には重鎮になりたいという下心があったと聞きます・・!
 まさか、それに対する天罰だったのでしょうか!?」


「し、し、し、死ぬのでしょうか!?」


狼狽える若者たち・・無理もありません。

未知の、そして強大なKANNA帝国を前に、

為す術もない海福族たちなのですから・・・


・・・おや??


「神よーーー!!じょ、上空をご覧下さい!!」

おやおや?

何かが上空に居るようです・・!


まさか・・・!!

KANNA帝国の昆虫型軍用機です・・・!



「神よー!我々は・・に、逃げなくて良いのでしょうか・・・!」



「何かが降りて来る。若者たちよ、落ち着くのだ・・・」


「黙れ若者よ。神の御意志だぞ。落ち着きなさい。」


なんという落ち着きでしょう・・・!

さすが神、そして重鎮と呼ばれるだけのことはあります・・・!


一体、

何が降りて来ると言うのでしょうか!?


「やはりお前か、小さき者よ。」


・・・!!


捕らえられていた小さき者のうちの片方の海福族です・・!

一体彼の身に、何が起きたというのでしょうか・・・!?


「神よーー!心配をお掛けし、申し訳ありませんでした!!」


「お前、一体、どうしたというのだ!?」


さすがの重鎮も、少々慌て気味です・・!

無理もありません。あのKANNA帝国から生還したのですから・・・!


「話してみよ。」


「はい・・・神よ。我々は、確かにKANNA帝国によって捕らえられました。
 そして、我々はKANNA帝国の帝王により、体に装飾を施されました・・・。」


「ああ恐ろしい・・!」


「黙れ若者よ。話す者が居る時は聞くのだ。」


・・ごもっともです!


「最初こそ抵抗しましたが、ある時点で気付くのです。
 これは、我々への虐待ではなく、愛なのだと・・・。」


「も、申し上げにくいのですが・・洗脳されたのでは!?」


「お前も黙れ、若者よ。」

「とても気持ちのよい時間でした。まるで、我々の故郷の
 あの森の中のよう・・・帝王は、我々や他の材料全てに
 愛を注ぎ、より良い姿へと変えようと苦心しておられました・・」


「そして、お前はそのような姿に生まれ変わった・・という訳だな?」


・・・なんという主神の洞察力!!

一瞬ですべてを把握してしまうその様子は、まさに

神と呼ばれるに相応しいものがあります・・・!


「その通りなのです、神よ・・!私は生まれ変わったのです・・!!
 皆さんも、見て下さい、私のこの姿を!!」


自信に満ちあふれています・・・!


体は小さくとも、自信は重鎮並みと言っても

過言ではないのではないでしょうか・・!?


「皆さん、信じてください・・!KANNA帝国は、決して
 邪悪な存在ではありません!ただ、ヴェールに覆われている
 だけなのです・・私の友もまた、このような姿に昇華され、
 そしてお守りすべき方の元へと旅立って行きました・・」


もう一人の小さき者は、アクセサリーとなって

運命の人に出会ったようです・・それは、海福族冥利に尽きますね・・!


「では、行方不明になった二人もまた・・・
 ふふ、面白いではないか。KANNA帝国よ・・」


「おそらく、KANNA帝国の魅力に取り込まれたのでしょう・・」


・・!

そういうことだったのですね・・・!


恐ろしい結末になっていないことがわかり、

張りつめていた会場も安堵の表情を見せ始めました・・・


「KANNA帝国かあ〜・・・」


「とはいえ、まだ不明な点も多い。
 むやみに足を踏み入れるでないぞ、若者よ。」


・・・どうやら一件落着のようですね・・!


相手の事がわからないと、

恐ろしい想像ばかりが膨らんでしまい、

いつしかそれを事実と混同してしまうものです。


恐ろしい相手を乗り越えるには、

まずは相手の事を知らないといけないということですね・・!


本当に恐ろしいのは、案外

自分自身の想像力なのかもしれませんね!


私たちも、気をつけるとしましょう・・・!


次回番外編も、乞うご期待です!!





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